このたびちょっとしたご縁から、オンライン書店ビーケーワンの10周年記念の倉庫見学に同行させていただきました。
オンライン書店ビーケーワン http://www.bk1.jp/
Amazon.co.jp ができるよりも早く、2000年に日本のオンラインブックストアとしてスタートしたbk1は、株式会社 図書館流通センター(以下:TRC)ビーケーワン事業部というかたちで、母体のTRCのシステムを共有しながらオンラインでの書籍販売サービスを展開しています。
最寄り駅はJR武蔵野線の新座駅。駅からタクシーでしばらく行くと「TRC」のマークがついた建物が見えてきました。いくつかの倉庫がこのTRC新座ブックナリーに統合されたのがちょうど1年ほど前だそうで、現在は24時間以内出荷対象の書籍はほとんどこの新座ブックナリーに揃っています。
会議室にてbk1についてのご説明をうかがったあと、倉庫へ。倉庫にはA棟・B棟・C棟と分かれていて、はじめにC棟へ。C棟は、ある程度サイズの決まっている文庫・コミックフロアと、絵本と児童書のフロアがある倉庫で、1階には入荷・検品フロアがあり、ここへ取次からの書籍が入荷してきます。
まずは文庫・コミックフロアで倉庫のシステムについてのお話。
倉庫の棚にはそれぞれ棚番があって、それが書籍のデータに割り振られており、どこに目的の書籍があるかを探すことができます。探す際に使うのが、ハンディターミナル。

これに探す本の情報を入力していくと、効率よく書籍が探せるよう、自動的に棚番順にデータが整理されます。それを見ながら、作業する方がオリコンに一冊ずつ本をピックアップしていきます。取り忘れがないよう、かならず所定の本をピックアップしない限り、次の棚には進めないようになっています。

↑これがオリコン(折り畳みコンテナ)

棚卸し時の在庫とデータの齟齬は蔵書約130万冊のうちの30冊程度。ピッキングミスなどでどうしても誤差が出てしまうこともあるようなのですが、リアル書店と比べると異様な少なさです。というのも、オンライン専門の書店なので万引きが基本的に発生しませんし、書籍の並びが変わってしまうこともまずありません。これ、リアル書店だと無視できない問題です。
書籍は基本的に薄利多売の商品なので、1冊2冊のロスが5冊10冊分の利益を飛ばしちゃったりすることにもなるし、在庫データの正確な管理も難しくなってしまいます。
オンラインのみの書店ならばそうした不確定要素が少なく、作業者の方々の努力も相まってより正確な運用がなされています。版元への返本率も一般書店が40%程度なのに対し、TRC全体でも12%程度。どの本がどれくらい売れるかの予測を過去のデータから判断しているそうです。
しかし、書籍は1日に200点もの新刊が出ると言われているような商品。管理システム以上に書籍のデータを揃えるのも大変のはず。
これらのシステムを支えているのが出版流通に乗っているすべての書籍が入力されている独自のデータベースです。bk1の書籍情報はTRCのデータベースを使っているのですが、このDB、そもそも図書館の蔵書管理用のデータベースとして全国の図書館へ向けて提供されているもので、TRCのデータ部が100人体制で新刊情報を入力しています。全国の公立の図書館の8割がこのデータベースをもとに蔵書の管理を行っているのだとか。
bk1の場合は、上記のように出版流通している書籍の詳細なデータベースを持ち、かつデータ上の在庫と実際の在庫がほとんどイコールという、買う側からしてもストレスの少ない管理環境が整っています。
さて、すっかりシステムのカタい話をしてしまいましたが、周りをきょろきょろするとコミックスだらけなわけで(笑)コミックスや文庫は、売れ筋の回転の良いものはパレットに積まれて山のように置いてあります。この山にもちゃんと番号が振られています。それ以外はぎっしり棚の中に。

↑左手のパレット、全部ONE PIECE山です(笑)
C棟のもうひとつのフロアは新座ブックナリーの特徴、絵本・児童書フロア。なにしろTRCは図書館へ書籍を流通させている会社なので、絵本や児童書の品数はハンパじゃありません。世界的に見ても、これだけの絵本の種類・冊数を置いている書店はほとんどないのではないかとのこと。

B棟はC棟に置かれている以外のあらゆる一般書が扱われています。1階は何十何百冊と積み上がった売れ筋の本が。

↓大量のミッフィー。

B棟について詳しくはまたのちほど。
そして"本の森"状態のB棟C棟で揃えられた本が、コンベアに乗ってA棟1階に集まってきて、出荷作業に入ります。
Amazonを使っていると、あの伸縮性のあるビニールでピチッと張った梱包に慣れてしまっているのですが、bk1の出荷作業はビニールに包むところから手作業。発送先ごとにに分けられた書籍を、丁寧に梱包して箱に詰めて出荷。やっぱり熟練されると早く美しく包めるようになるそうです。
本のピックアップや発送作業、こうして見ると思った以上に人力、です。
さらに、今回は見れなかったのですがA棟の2・3階では書籍のフィルムコートが行われています。ご利用の方はご存知かもしれませんが、bk1で書籍を注文する時に、オプションで図書館に置かれている本のようなフィルムコートをかけることができるのですね。もともとはこのフィルムコート(ブッカーとも)、人の手によってかけられていることがほとんどだったのですが(職人によるブッカー専門の会社もあります)、bk1ではフィルムコート用の機械も導入しています。
もうみなさまお分かりかと思いますが、このフィルムコートサービスも、もともと図書館向けに販売する際のサービスを一般向けにも提供している、というもの。なるほどなるほど。
ひと通りのご案内をいただき、休憩をはさんで最後に参加者のみなさまと一緒にオリコンを持って2時間、倉庫の中を歩き回りながら本の物色タイム。
実際に歩いてみると、本の並びの”無秩序さ”がとてもよくわかります。とくにB棟は様々なジャンルの一般書が混ざっているので、かなりカオス。しかしいつもは書店で見ないようなジャンルの本に出会えるのは面白いかも。

建設の資格本と刺しゅうの本に挟まれて『+81』、とか……

柳田國男全集の隣にコンクリート技師試験とか。
これはデータがないと目的の本を見つけるのは至難の業ですね。逆に似ているタイトルの本を間違ってピックアップしてしまう可能性は少なそうです。
私もいくつかの本をピックアップしてオリコンへ。これ、普通に買って帰るもの(笑)

一番上に乗っている絵本、リサ/ヨハンナ・ラーソンの『BABY NUMBER BOOK』は、これからお父さんになる友人のもとへ旅立ってゆきました。
本に囲まれている間はテンションが上がるので意識しなかったのですが、会議室に戻ってきた時には歩き疲れて少しぐったり。ご用意いただいたお菓子に遠慮なく手が伸びます。休憩・質問ののち、またタクシーにて新座の駅へ。ほとんど半日がかりの充実の見学会でした。
bk1のみなさま、おつかれさまでした & ありがとうございました。